“MY MEMORIABLE TRIP” – 記憶に残る旅 – 津軽白神湖

2021年11月11日

著:矢澤一輝

カヌースラローム競技
オリンピック3回(ロンドン、北京、リオ)出場
現在も国内で活動を続けるアスリート
青森県西目屋村在住

https://www.instagram.com/kazukiyazawa/?hl=ja

青森県にある人口1,300人余りの小さな村に私が移り住んだのは4年前の春。
4月だというのに引っ越して2日目で雪が降ったのを覚えている。
この村にはスーパーもコンビニもない。一番近いスーパーまで車で20分。青森空港まで1時間、新幹線新青森駅までは1時間半もかかる。まさにド田舎。何もない村だ。
しかし、世界遺産白神山地を有するこの村には、まだ一般の人に知られていないここにしかない大自然の絶景がある。
しかも、私の知っている絶景スポットの数々は、車でアクセスが簡単で気軽に行けて気軽に楽しめる。
もちろん自然の中には危険も多いので注意は必要だが、簡単に非日常が楽しめるのは魅力の一つになるだろう。


こんな西目屋村で今一番おすすめしたいスポットは、村役場から白神山地へ車を20分ほど走らせた津軽ダムの上流、津軽白神湖にある。
5年前に完成した津軽ダムの影響で、それまで陸地だった場所が現在は水の中。木々もそのころのまま根の部分は水中にあり、何本もの木が水中から生えているような景色を生み出している。
冬季は豪雪地帯のためここまで行く道が封鎖されており立ち入ることはできないが、同じ場所でも春夏秋の季節によって違った雰囲気が味わえるのが自然の魅力である(本当は冬も行きたい)。
この場所は橋の上流部にあるため安全な場所に車を停めて橋の上から楽しむことができる。
しかし、私はやっぱりカヌー・カヤックやサップで近くまで行き、自分もすっぽり大自然に包まれるのがたまらない。


少し上流に漕ぎ進めば人工物は視界から消え、大自然を独り占めできる。
気温が低い日には、温かい飲み物を持っていき水の上でまったり、景色を眺めながらコーヒータイムも最高だ。
カヌー選手として普段から水辺にいることが多いが、カヌーをやっているからこそ非日常の絶景を特別な場所から楽しめるのはこのスポーツの強みだと再確認している。
森の中は猿や熊など動物に襲われる可能性があるが、私の場合は「カヤックやサップで水の上にいるから大丈夫」となぜか妙な安心感もある。もちろん常にライフジャケットを着用し、誤って水に落ちた時や暑い時期に泳ぐときのリスクマネジメントをしっかりして、ここにしかない景色を是非多くの人に知ってもらいたい。

※カヌー・カヤック・サップ体験は専門のインストラクターとともに行うことを強くお勧めします。
季節関係なく水辺で活動するときは必ずライフジャケットを着用することを強くお勧めします。