STアンバサダー:加藤大典様より「フィリピン スービック 沈船内部侵入水中探検ダイビング」レポートが到着!2017年05月12日


STアンバサダーの加藤大典様よりフィリピン スービックでの沈没船内部侵入水中探検ダイビングの様子をご報告いただきました。

STバッグもたくさんご使用いただいております!!!

 

「フィリピン スービック 沈船内部侵入水中探検ダイビング レポート」

 

沈船探検ダイバー育成コースを開催しつつ、空いた時間で沈船探検を行いました。
沈船を潜ると言いましても、ただ全景を眺めるだけでなく、艦内に侵入つまりペネトレーションを行うダイビングのトレーニングコースです。
そして戦後残っている沈船で形状を維持しているのは水深が深く内湾にあるものが多いです。
つまり水深が深く濁っているスポットが多いため、
減圧ダイビングや低視界ダイビングのテクニックも必要となる難易度の高いダイバーコースになります。

この難しさが、クセになる。
また探検したくなる。
わくわくが止まりません。

このコースでは、たくさんの器材が必要となり、現地までの運搬も大切な計画のひとつです。バッテリーは機内持ち込み、ライトから電池は抜く。命を預けるダイビング器材は安全に大切に運びます。このようなリスクの高いダイビングには、計画プログラムをソフトウエアで立案するため、パソコン類も必要で、かなりの荷物量になります。アウトドアグッズを運搬するために考えられたSTREAMTRAILは多くの器材が必用となるテクニカルダイビングには欠かせないアイテムです。

今回は、もう7年ほど前から通っているフィリピンのスービックにやってきました。

スービックは、18世紀末にフィリピンを最初に征服ししたスペイン人によって作られた軍事拠点となる港で、その後はアメリカが管理をしていました。
第二次世界大戦で、1942年に大日本帝国が占領したが、終戦後、フィリピンとアメリカの間で協定が結ばれましたが、1991年にはフィリピンに返却された。アメリカがインフラ整備をしてくれた土台に経済特区になった。世界情勢の変化により、2015年にアメリカ軍の駐留がはじまっています。

スービックという場所ですが、スービックはマニラから北へ約130kmの距離にあり車で約3~4時間で到着します。何故、130kmで4時間も?と疑問に思われるかもしれません!それは渋滞が当たり前のマニラを抜け最近こそ高速道路ができいくらか良くはなりましたがほぼ一本道で何かあればすぐに渋滞というここフィリピンの道路事情の悪さの為です。ここスービックはオロンガポ市を中心に米海軍基地跡を利用したSBMA(スービック湾都市開発庁)管轄のフリーポートゾーンが有りまるでフィリピンの中のアメリカといった感じです。海軍の置き土産のインフラ(電気、ガス、水道)をそのまま使っているので生活は快適です。

このスービックの目玉スポットである、装甲巡洋艦USSニューヨーク (USS New York, ACR-2) は、129年前に建造され、第一次世界大戦から活躍し、第2次大戦初期に沈められた、アメリカ海軍重巡洋艦。 スービック湾の中央、水深30mの海に沈んでいる。 1991年のピナツボ山の大噴火で船体の半分は火山灰に埋もれている。
USSニューヨークは1888年に建造を開始し、1891年に進水した全長115m、全幅20m、総排水量8,150tを誇る当時最新鋭のCA-2型重巡洋艦。合計17,000馬力を咆哮する4基のエンジンは、艦長以下550名の乗組員を載せ、最大速力21ノットの航行を可能とした。世界中で輝かしい戦歴を重ね、1932年に再びアジア艦隊に戻り、1933年には電力供給と船舶部材製造所としてオロンガポ造船所に係留されて晩年を迎える。 そして太平洋戦争が始まった直後の1941年のクリスマス、日本帝国海軍の手に渡らない様にアメリカ海軍がスービック湾に沈めたと言われている。

この巨大なパドルシップへのペネトレーションには、様々な知識、ノウハウ、テクニック、そして心構えが必要となります。迷い込んだら抜け出せないような迷路のような通路。深い水深により、必要となる減圧手順方法。せまくシルトの積もった艦内は、少しのフィンワークや動作の乱れであっというまになくなる視界。極めて難易度が高いのがこのニューヨークへのペネトレーションです。横倒しになった艦内には大きなエンジンルームや様々な通路、トレーニングで得た最高のテクニックとノウハウと心構えを持ち探検するわくわく感そしてロマンを感じずにはいられません。


このバトルシップ ニューヨークの探検に、1ダイブだけですが、現地ダイビングサービスのボードウォークダイビングセンターのダンテ、テクニカルダイビングセンタージャパンの石井さん、オケアノスの池田さんとご一緒しました。頼もしい探検家の方たちとチームで潜るのもなんとも楽しいものです。私たちを信頼して自由にゲレンデを解放してくれるボードウォークダイブセンターのオーナーのジョージに感謝です。そしてジョージを紹介してくれた田原さんにも感謝です。レックに最高な大切な場所です。

戦艦の内部は繊細なテクニックを駆使して、視界が濁らないように細心の注意を払います。このダイビングには、スキューバシリンダーを2本携帯し、減圧用に酸素ステージシリンダーを別途水底まで持ち込みます。背中に背負うバックマウントが主流ですが、ケーブダイビングで開発されたサイドマウントダイビングを用いてさらに狭い最奥部の探検を楽しみます。本当に狭い配管の中を通過するときには、身体の左右に配置されたシリンダーを取り外し、前と後ろに配置して通過することも可能になります。探検の範囲を拡張できるメリットがあります。海でサイドマウントを楽しむダイバーにも本当の意味でのサイドマウントを理解できるいいきっかけになるので、このようなトレーニングに参加することは有益だと思います。もちろんリスクの高い環境ですから、本気でトレーニングすることが前提です。

 

私が代表を務めるSDI/TDIというダイビングトレーニング機関のサイドマウントダイバーマニュアルも刊行されました。世界のサイドマウントインストラクターが寄稿し、日本人で最もサイドマウントに精通しているTDIトレーニング部長の田原浩一が翻訳担当、SDI/TDI事務局長の田中がデザイン担当し、私も監修として関わっているマニュアルです。ぜひサイドマウントダイバーの方たちに読んでいただきたい一冊です。本格派のテクニカルインストラクターでサイドマウントを行っている方たちからも絶賛していただいています。

 

今回の参加されたダイバーさんたちも楽しみながら、悩みながら、難しいトレーニングをクリアし、意識を高め、このニューヨークにチャレンジすることができました。これからの水中探検ライフが楽しみですね。

このような歴史的建造物にテクニカルダイバーという資格を持ち、船内に侵入すると、歴史を学びたくなり、その時代に様々な立場で、懸命に生きた人たちの気持ちを想い、平和と戦争、世界、国家、地域、会社、仲間、家族、いろいろな事が頭に浮かび、この時代を生きていることに感謝の気持ちでいっぱいになり、このような経験は人生を深く考えさせられる。
ダイビングにもいろいろな楽しみ方がありますが、このようなマニアックなレックダイビングもひとつの楽しみ方であります。興味が湧いた人は、信頼できるTDIテクニカルダイビングのアドバンスレックインストラクターに問合せしてみてほしい。その先にはすばらしい体験が待っていますよ。次の探検も楽しみです。

No Wreck! No Life!